最初に言われた期間より長くなっているのですが。。。
お子様の場合(簡単なケース)
本来、前期治療は、顎の拡大が行われて、上下の顎のズレが改善された時点で終了です。
そこから永久歯が生えそろうまで観察して、後期治療として、精密な計画を立てた上で、一つ一つの歯の幅を調整し、細かく動かし、必要ならば抜歯も行なって仕上げの矯正を行うのが普通です。
ただ、現実として、
「歯の大きさが適切、顎の大きさが良好、上下の顎のズレがない」
といった好条件が揃っているお子様に限っては、運が良ければ、歯が上下で噛み合ってしまう前であれば、複雑な装置を使用せずにそこそこ並べることができたケースもたくさんございます。
こういう場合は当院では、サービスとして前期治療を延長し、簡単な装置のみで経過観察を行うことが多いです。後期治療なしで、そこそこの歯並びになるので多くの保護者様に費用の面で喜ばれています。
ただし、この場合は最初に決めた期限よりも期間は長くなるのは致し方ありません。
矯正治療は、歯を動かしている期間も大切ですが、歯を動かさずに観察している期間も大切です。
正しく経過を観察するにも専門知識と長い臨床経験が必要です。
歯を動かしている期間はだいたい1年半から2年以内になりますが、最低でも7番目の歯が生えそろうまで経過観察が必要です。
厳密に言えば、親知らずの抜歯が完了するまでは歯が思わぬ移動をするので、親知らずの抜歯が完了するまでは観察する必要があります。
前期治療だけで治った方もそうでない方も全ての歯が永久歯に交換するまでは保定装置と観察が必要です。
顎を広げるだけで観察も保定装置もなければ、時間が経過するとほとんどのケースで悪化してしまうからです。
転勤等で短期間しか通えない方向けの顎を広げる期間のみの矯正コースもありますが、これはこちらにご通院中に顎を広げることのみ担当させていただきますが、その後の治療については他院で新たなご契約が必要です。
矯正治療も、治ったと思っても、すべての歯が永久歯に生え変わって親知らずを抜歯して終了するまでは油断は禁物です。治った後も観察が必要なのは、サッカーに例えると後半、残り25分で10対0で勝っているので、無理に攻めずに試合をホールドしているような感じです。もし油断してメンバーを引き上げてしまえば逆転負けになる場合もあるでしょう。
お子様の場合(難しいケース)
歯を動かしている期間はだいたい1年半から2年以内になりますが、難易度が高いケースなので、前期治療だけでは歯並びは完治致しません。
前期治療後、永久歯が生えそろうまで観察が必要で、その後に後期治療を行わないと歯並びは綺麗に治りません。
難易度が高いケースですから、顎を広げるだけで観察も保定装置もなければ、親知らずが奥歯を前方に押して、歯並びが悪化してしまいます。
歯を動かしている期間とは別に保定、観察期間が存在することは最初にお渡しした紙に記載がありますのでよろしくお願い致します。
初診時になかった問題が時間の経過とともに出てきた場合
例えば、永久歯が大きい、上下の顎のズレが大きくなってきた、親知らずができてきた。生えてきた歯の向きがおかしい等、新たに問題点が出てくれば、最初に予定していた期間を過ぎてでもその問題に対処する必要が出てきます。
ある程度は最初に予想するのですが、実際のところ、個人差があるので開始する年齢や状態によって当初の予想通りになる場合と想定外の問題が出てきる場合もあります。
簡単な症例の場合と難症例の場合をプロ野球に例えると
簡単な症例の場合:阪神タイガースが中学生と対戦するようなもので、試合時間もあらかじめほぼ予想できます。
難症例の場合:阪神タイガースがメジャーリーグのチームと対戦するようなもので、試合時間も最初に予想できない上に控え選手も出場する総力戦になるようなものです。
ご理解頂ければ幸いです。
大人の場合
私の経験上では、18歳〜30歳くらいの大人の簡単なケースの矯正では、多くの場合はインビザライン治療を用いることで最初に予定した期間内で歯の移動をほぼ終えることができます。
その理由は18歳〜30歳くらいの成人矯正の場合、問題がほぼ出尽くしていて、顎の成長もありませんし、顎の矯正ができないため、選択肢が限られているからです。
ただし、抜歯が必要なケース等の難易度の高いケース、あるいは装置やゴムの使用が足りないケースでは、予想より治療期間は延長することはあります。ゴルフに例えると簡単なホールだとパーで回れるのに難しいコースだとダブルボギーになってしまうような感じです。
注1:30歳以上の年齢になると歯周病の問題も出てきがちです。生体の反応を見ながら慎重に進める必要がありますので、予定より期間は延長することがあります。
注2:12歳〜15歳くらいでインビザライン治療を行う場合は、わずかな成長が残っている分、計画の自由度が高いのでより理想に近い治療ができる反面、上下の噛み合わせが途中で変化して裏目に出ると治療期間が延長する場合もあります。
余談
結論から申し上げれば、
簡単なケースは予想通りの期間内に治る場合が多い
難しいケースは予想通りの期間内に治るとは限らない
ということになります。
矯正治療は契約社会であるアメリカで昔から広く行われていました。
昔はアメリカでは患者様と歯科医師が契約で治療期間も取り決め、患者様が契約している民間の保険会社から治療費がその期間中は支払われる仕組みでした。
ですから矯正治療というものは、全ての問題が出尽くした14歳以降に抜歯して矯正治療を2〜3年で終了という流れが主流でした。
また昔は「顎の前方部を横に拡大しても後戻りするので拡大はしてはいけません」と高名な矯正歯科医が本に書いていました。ある程度、お顔が完成した後では顎を広げても後戻りするのは現在でも同じです。
昔は7歳くらいで顎を拡大して小臼歯を抜歯せずに治療をすることは異端とされていました。
しかし、私は契約期間を守ることが最優先でそのために治療の開始を遅らせたり、拡大できる時期を何もせずに観察するというのはおかしいと歯科医になりたての頃からずっと思っていました。
そこで、当院では、前期治療+後期治療という「できるだけ歯を抜かない矯正治療」を開業当初から行ないました。
お子様の場合、当院で治療期間を延長している場合は、難易度が高いかあるいは前期治療をサービスとして延長しているかのどちらかだと思っていただければ幸いです。
こむら小児歯科・矯正歯科でインビザライン・システムによる歯並び治療を行ったケースが2018年にインビザライン公式サイト:Align Global Galleryに#591番、Dr T. Komuraとして世界で591番目、大阪府では3番目に掲載されました▶
インビザライン・ファカルティとは、米国アライン・テクノロジー社公認の講師の資格で、日本全国で約20名の歯科医がファカルティ(指導医)として認定されています。
インビザラインの診断や治療技術、治療経験などについてセミナーを通して他のインビザラインドクターに指導しています。
当院では院長が立てた計画をインビザライン・ファカルティに監修していただくことで「本物のインビザライン」をご提供致します。
2022年にインビザライン社のプラチナステータス
そして2023年にはプラチナエリートステータスを取得しました。