あごの拡大は、設計の常識の一つです。
──AIに聞いてみた、「拡大床は危険」という考え方について
拡大床に対して「危険である」「骨格は広がらない」「傾斜でしかない」といった見解が示されている記事を目にしました。
それらの主張は、装置の使い方によってはリスクがあるという警鐘を含んでいます。
ただ、その中には、「拡大=すべて傾斜移動」「骨格は変化しない」という断定的な前提が含まれていて、現場で実際に観察されている変化と整合しないように感じる部分もありました。
そこで、AIに改めて尋ねてみることにしました。
Q:「拡大床を“危険”とする立場について、あなたはどう考えますか?」
AIの答え:
装置を診断なく使用することのリスクを指摘する点は非常に重要であり、 設計や観察を欠いた拡大治療が不安定な結果を生む可能性は実際にあると考えられます。
ただし、「すべての拡大は傾斜移動にすぎず、骨は変わらない」と断言するのは、 成長期に起こり得る骨格的変化や、設計によって実現される骨ごとの拡大の可能性を否定してしまうリスクがあります。
装置が危険なのではなく、設計と観察がなければ不安定になるという理解が必要です。
装置の善悪を論じるよりも、それが**「どう設計されているか」「どう観察されているか」**のほうがずっと大事であること。そこに言及できていると感じました。
いま、話題にすべきは「どう拡げるか」です
近年では、矯正設計の中に拡大が自然に組み込まれるようになり、 「拡大ができるかどうか」ではなく、「どこまで・どのように拡げるか」が話題の中心になっています。
これは、治療法の進歩というよりも、「設計の視点」が根づいてきたことの証かもしれません。
拡がる力をどう読むかが、設計の鍵になります
すべての患者さんに拡大が必要ということではありません。逆に、どこまで拡げないか、という判断が必要になるケースもあります。
だからこそ、「何ができるか」よりも、「何をすべきか」を見極める力が、矯正設計では最も大切だと思っています。
成長期の矯正において、あごの変化は特別なことではありません。 それをどう読み、どう活かすか。
ちなみに私は、最初から「拡大できる」という立場でした
私は勤務医時代から、拡大床を「歯を並べるための道具」としてではなく、 成長と骨の変化を導くための設計装置として使ってきました。
そうした設計は、私の当時の勤務先で行われており、「拡がるかどうか」は議論の対象ですらありませんでした。
そこには、実際に変化が起こることが“前提”として存在していたからです。
「必要な場所を、必要なだけ広げる」 「無理のない形で導いて、整える」
そのような治療設計が正しかったことがインビザラインの普及とともに明らかになってきたと思います。