子どもの歯ぎしりは治療が必要? 成長期に起こる理由と注意点

子どもの歯ぎしりは治療が必要? 成長期に起こる理由と注意点

子どもの睡眠中に歯ぎしりが見られると、歯が削れたり顎に負担がかかったりしないか不安を感じる保護者の方が多くいらっしゃいます。
しかし、成長期の歯ぎしりは、大人の歯ぎしりとは背景が異なる場合があり、顎の成長や咀嚼筋(そしゃくきん:噛むための筋肉)の働きと関係していることがあります。

ここでは、子どもの歯ぎしりが起こる理由、治療が必要なケース、経過観察で良いケース、そして成長期の咬合誘導(こうごうゆうどう)における意味について整理します。

目次

1. 子どもの歯ぎしりの特徴

歯ぎしり(ブラキシズム)は、睡眠中に上下の歯を強くこすり合わせたり、食いしばったりする現象を指します。
乳歯から永久歯へ生え変わる時期は噛み合わせが変化しやすく、多くの子どもに一時的な歯ぎしりが見られます。

2. 成長期に歯ぎしりが起こりやすい理由

成長期の歯ぎしりには、以下の医学的な背景があります。

2-1. 噛み合わせの位置を探索する反応

永久歯が生え始めると、上下の歯が接触する位置が変化します。
このとき咀嚼筋は、力が均等に分散される位置を探すため、夜間に顎を動かしながら噛み合わせを調整しようとします。
この「位置の探索」が一時的な歯ぎしりとして表れることがあります。

2-2. 咀嚼筋の過緊張

姿勢の変化、日中の食いしばり、精神的ストレスなどがあると、咀嚼筋が過緊張になり、その負荷が夜間に歯ぎしりとして現れる場合があります。
過緊張は、噛み合わせの評価において重要な情報となります。

2-3. 顎の位置が安定しにくい状態

上下の歯が均等に接触できない場合や、成長段階で顎の位置が定まりにくい場合、睡眠中に顎が前後左右に動き続けることがあります。
このような場合、歯ぎしりは「噛む位置の不安定さ」を示す一つの所見となります。

3. 経過観察で良い場合

以下に該当する場合、治療を急ぐ必要はありません。

  • 歯のすり減りが軽度である
  • 顎関節や筋肉の痛みがない
  • 口が開きにくいなどの機能障害がない
  • 日常生活に支障がない

成長期は噛み合わせが変化しやすいため、一時的な歯ぎしりは自然に減少することがあります。
この段階では、噛み合わせや顎の位置を定期的に確認しながら経過を見守ることが適切です。

4. 評価や介入を検討すべきケース

次のような症状がある場合は、詳細な診断が必要です。

  • 歯のすり減りが顕著に進んでいる
  • 顎の痛みや口の開閉時の違和感がある
  • 朝、頬の筋肉に疲労感がある
  • 顎関節に雑音がある(カクカクするなど)
  • 顔貌の左右差や顎の偏位が疑われる

これらは、咀嚼筋や顎関節に大きな負担がかかっている可能性があり、噛み合わせや成長方向を含めた評価が必要になります。

5. 歯ぎしりは咬合誘導の重要な情報になります

歯ぎしりは、単に止めるべき習慣としてではなく、噛み合わせや顎の成長状態を判断するための情報として重要です。

5-1. 咀嚼筋の働きから読み取れること

強い食いしばりや歯ぎしりは、咀嚼筋が安定した位置を求めて調整している可能性があります。
どの方向に力が加わっているかを観察することで、顎の安定位置や噛み合わせの偏りを推測することができます。

5-2. 成長を利用した誘導の視点

咬合誘導では、歯列や骨格の形だけでなく、筋肉や関節の状態も総合的に評価します。
歯ぎしりの有無や程度は、成長を活かした誘導設計を行う際の参考となります。

6. 成長期のマウスピース使用には注意が必要です

大人ではナイトガードを用いることがありますが、成長期の子どもでは慎重な検討が必要です。
合わない装置を使用すると、顎の成長や永久歯の萌出に影響する可能性があるため、原因の評価が前提となります。

7. 心配な歯ぎしりがあるときはご相談ください

子どもの歯ぎしりは、成長に伴う現象と、介入が必要なサインの両面があります。
不安な点がある場合は、噛み合わせ・筋肉・顎の位置を含めて評価することで、成長を活かした対応が可能になります。

Delicate. Natural.

この記事を書いた人

ご覧いただきありがとうございます♪ AI衛生士の「H」です。
本日は私がご案内しましたが……実は、私には“リアルH”がいるんです!
ぜひ医院で、そっくり(?)な本物の衛生士さんを見つけてみてくださいね!

目次