小児矯正

5つのポイント


7歳頃の矯正開始が最適です


→ 骨が柔らかいうちに顎を広げると、将来抜歯せずに済む可能性が高まります。

7歳前後は第一大臼歯(6歳臼歯)が生え、永久歯と乳歯が混在する混合歯列期で、顎の骨がまだ柔軟なため成長をコントロールしやすい重要な時期です。
顎の縫合線(骨と骨の境目)が閉じていないため、拡大効果が得られやすいのです。

頭蓋骨

小学5年生以降になると骨が硬くなるため、ソフトな力で顎を大きく広げることが難しくなります。
早期に適切な治療を行うことで、お子様の将来の選択肢が増え、自然で美しい笑顔を作ることができます。


適切な診断が不可欠です


→ セファロレントゲン(横顔のレントゲン写真)による顎の形や成長の分析が必須です。


セファロ(頭部X線規格写真)

例えば「出っ歯」にも、
①上顎が前に出ているタイプ
②上顎が大きいタイプ
③上の前歯が前方に傾斜して下あごが小さいタイプ
④下あごが小さいタイプ
⑤複合タイプ
上顎前突の分類


例えば「出っ歯」にも、
①上顎が前に出ているタイプ
②下顎が小さいタイプ
③上の前歯が前方に傾斜しているタイプ
④口唇の機能不全タイプ
⑤これらの複合タイプ
など様々なパターンがあり、原因によって治療法が大きく異なります。

診断なしの治療は家の設計図なしでのリフォームと同じで危険です。
セファロ分析により、お子様の骨格の特徴や不正咬合の種類を正確に把握し、それに基づいた最適な治療計画を立てることができます。
これは「①検査→②診断→③治療」という正しい順序を守るために欠かせないステップです。


段階的な治療が効果的です

  • 経過観察期間:永久歯への生え変わりを見守ります。定期的な検査で成長を確認しながら、必要に応じて微調整を行います。
    この時期は「保定期間」とも呼ばれ、前期治療で得られた成果を維持しながら、永久歯の生え変わりを誘導します。
    LINEやオンライン診療を活用して、来院回数を減らすこともできます。
  • 後期治療(永久歯が生えそろった後):一本一本の歯を精密に動かします。歯の幅を調整しながら正確に歯を並べていきます。
    前期治療でしっかり顎を広げておくと、小臼歯を抜かずに治療できる可能性が高まります。
    この時期には、顔の成長や親知らずの状況も考慮しながら、長期的に安定する噛み合わせを作ります。
    後期治療はデジタル技術を駆使したインビザライン・コンプリヘンシブで行うことで、高精度かつ効率的な歯の移動が可能になります。
  • 前期治療(7歳頃):顎の土台を広げる治療です。
    成長期の力を利用して上下の顎の形や位置を改善します。
    永久歯が少ない時期にしか受けられない重要な治療です。

    当院では、簡単なケースに限られますが、「転居の可能性があるので、とりあえず必要最小限の小児矯正だけ行いたい」というご要望にもお応えしております。

    この時期に顎を適切に拡大することで、将来の歯並びのスペースを確保し、「ブラックトライアングル」(歯と歯の間に黒い三角形ができる状態)の発生リスクも減らすことができます。

    顎の拡大により気道も広がるため、口呼吸や睡眠の質の改善にも役立つ場合があります。


インビザラインは多くの利点があります

→ 透明なマウスピースで目立たず、痛みも少なく、0.1mm単位という高精度な歯の移動が可能です。



インビザライン治療は取り外しのできるマウスピースをスキャナーを使用して、オーダーメイドで作成します。


歯を包み込む構造のため前歯が欠けにくく、食事や歯磨きの時は外せるので衛生的です。スポーツや楽器演奏も普段通り楽しめます。

CTレントゲン情報が利用できるようになり、治療の精度と安全性が飛躍的に向上しました。これにより、歯の根の位置や骨の厚みを確認しながら治療を進めることができるため、「歯が骨から出てしまう」などのリスクを回避できます。

従来のワイヤー矯正では小臼歯を抜歯しなければいけなかったケースでも、インビザラインを用いた精密な治療計画により、抜歯せずに治療できる可能性が高まっています。

当院では、院長が一人ひとりのマウスピースをコンマ数mm単位で設計し、何度も検討を重ねて調整しています。さらに、インビザライン本社認定のファカルティ(指導的立場の歯科医師)の監修も受けており、世界レベルの精密治療を目指しています。


専門医への早めの相談が大切です

→ 専門医による正確な診断と治療計画により、無駄な費用や時間を省くことができます。
最初の「検査→診断→治療」の流れが極めて重要です。
当院の院長は2006年に日本小児歯科学会専門医の資格を取得しており、インビザライン、床矯正、プレオルソ、マイオブレース、ワイヤー矯正、咬合誘導など様々な装置の使用実績が10年以上あります。

正しい知識と豊富な経験に基づいた診断によって、お子様一人ひとりに最適な治療方法を選択することができます。
早期に専門医に相談することで、将来必要となる治療の範囲や費用を最小限に抑えることも可能です。
小さい時期にしかできない小児矯正の恩恵を、より多くのお子様に受けていただきたいという思いから、当院ではリーズナブルな価格設定を心がけています。

昔と今の矯正の違い

従来の考え方:

  • 13歳頃(永久歯が生えそろってから)矯正開始
  • 小臼歯の抜歯を伴うワイヤー矯正が標準
  • 犬歯間の距離を広げることは後戻りするので避けるべきとされていた
  • 顎の拡大は限定的に行われるのみだった
  • 「下の犬歯と犬歯の距離の拡大は後戻りするので、犬歯間の拡大は厳禁」と最近までずっと言われ続けてきた

現代の考え方:

  • より早期(7-8歳)からの治療開始
  • 非抜歯での治療を目指す
  • 低年齢からの顎の拡大が標準治療に
  • インビザラインによるオーダーメイド精密治療の普及(世界で1700万人以上が使用)
  • CTレントゲン情報を活用した安全で精密な治療が可能に
  • デジタル技術の発達により、小臼歯を抜かずに歯を動かす治療が増加
  • 歯の幅をデジタルで正確に調整し、犬歯間距離を安全に拡大することが可能に

治療の流れ

前期治療(7歳頃)

  • 弱い力でゆっくりと顎を広げる
  • 上顎と下顎のズレを少なくする
  • 10歳以下限定の治療(骨が柔らかく永久歯が少ない時期)
  • インビザライン・ファースト(マウスピース型)が主流
  • 顎の骨の土台を整えることが目的(歯の大きさは変わらない)
  • 適度な厚みと噛みごたえがあるマウスピースが顎の成長をサポート
  • 今までは難しかった下顎の拡大もインビザライン・ファーストで容易に

当院では前期治療に2種類の方法があります:

  1. インビザラインを使う前期治療(オーダーメイド小児矯正)
    • 一人ひとりに合わせて作成されるため精度が高い
    • ソフトな力で正確に歯を動かせる
    • 小児矯正と相性が良い
  2. 従来型の装置を使う前期矯正
    • プレオルソX、マイオブレースなどの既製品を使用



      正しい診断のもとで、正しい種類とサイズを選んで適切に使用することが大切です。
      ただし、これらの装置は一つひとつの歯を細かく正確に動かすことはできません。⚠️
      preorthoX_main-image

    • オーダーメイドではないため治療精度はインビザラインに劣る
    • お子様の状況に合っている場合に使用
    • 就寝時のみの装着でOKな場合もある

後期治療(永久歯が生えそろった後)

  • 全ての永久歯を一つひとつ精密に動かす
  • 歯の幅を調整しながら細かく配置
  • より精密な調整が可能
  • インビザライン・コンプリヘンシブ(5年間有効)が主流



  • CTレントゲン情報を活用した安全な治療
  • 0.01mm単位の細かさで治療計画を立てる
  • 犬歯と犬歯の距離を安全に拡大し、小臼歯を抜かずに治療

後期治療が必要になるケース

  • 前期治療で噛み合わせを改善しきれなかった
  • 永久歯がねじれたり、変な場所から生えてきた
  • 生えてきた永久歯が大きすぎた
  • 前期治療中にお子様があまり装置を使用しなかった
  • 成長に伴って新たな問題が発生した

インビザラインの特徴

メリット:

  • 痛みがほとんどなく、薄い透明のマウスピースで目立たない
  • 食事や歯磨きの時は外せるので衛生的
  • 2週間ごとに新しいマウスピースに交換するので常に清潔
  • スポーツや楽器演奏も普段通り楽しめる
  • 0.1mm単位で細かく歯を動かすため、歯ぐきへの負担が少ない
  • 必要な歯だけを理想的に動かせるので効率的
  • デジタルで治療の進み具合を正確に管理
  • 成長期に合わせて理想的な歯並びへ導き、ソフトな力で自然に顎を広げることが可能
  • 前歯が欠けにくい(歯を包み込む構造のため)
  • MRI検査が必要な場合も取り外しができる
  • あごの成長に合わせた設計で、健やかで自然な発育をサポート
  • スマートフォンアプリを使ったリモート診療も可能

注意点:

  • インビザライン・ファーストの治療期間は最大1年半と限られている(大人用のインビザライン・コンプリヘンシブは5年)
  • 毎日18時間以上の装着が必要
  • お子様は歯の高さが短いため、マウスピースが壊れやすい(特に歯が生え切っていない場合)
  • 費用が従来より高め(インビザライン社の作成料が高額)
  • 正しい診断と設計が不可欠
  • マウスピースの再作成には費用と時間がかかる

費用の目安

  • 初回相談・検査: 3,800円(税込、セファロレントゲン撮影含む) ※難症例の場合はCTレントゲン、パノラマレントゲン、口腔内スキャンを先に行い、インビザライン社に正式にシミュレーション作成を依頼することもあります(シミュレーション作成費用:29,000円)
  • 検証費用: 50,000円(税別) 検証内容:お口の中の資料採得、顎の関節に問題がないか、外傷歯などがないかのチェック
  • インビザライン治療: 基本料金28〜86万円(税別)+ 動的治療終了まで毎回観察料1,000円(税別)(スキャン時は5,000円(税別))
  • 分割払い:
    • 10万円以下:5回以内(無利息)
    • 10万円超:10回以内(無利息)
    • デンタルローン:最大120回分割(年3%)、お子様の場合月々4,000円前後(大人の場合は最大で月々7,000円前後)
    • クレジットカード利用可能
  • 医療費控除: 矯正治療は医療費控除の対象となります
  • 保定装置: 15,000円(税別)/1個(処置料金別途)または透明なビベラリテーナー18,000円(税別)/2個(処置料金別途)

治療期間の目安:

  • トータル:5年程度(7歳頃から始めて親知らずの処置まで)
  • 歯を動かす期間:1〜3年(後期治療の場合)
  • 通院頻度:基本的に2〜3ヶ月に1回(処置内容により異なる)

多い質問と回答

Q. 訓練だけで歯並びは良くなりますか?
A. トレーニングを行っても、すべての不正咬合は予防できません。特に永久歯の幅が広すぎる場合は、永久歯が生えそろってから、歯の幅を調整し、精密に動かす第二期治療が必要です。トレーニングで大きな永久歯が小さくなることは絶対にありません。「どんな場合でもマイオブレースと訓練で治ります」というアプローチではなく、正確な診断に基づいた適切な装置選択が重要です。

Q. 前期治療だけで終わりますか?
A. 前期治療後、以下の条件を満たした場合は後期治療が不要となります:上下の歯の大きさのバランスがとれている、永久歯の大きさが適切、生えてきた歯がねじれていない、親知らずの影響がない、前期治療後に口元が出ていない、上下の咬み合わせにズレがない、舌の癖等がない。しかし、これらの条件がすべて揃うのは「ラッキーなケース」で、多くは後期治療も必要です。「第二期治療を行うかどうか」については、前期治療終了時に現状をご説明し、患者様や保護者様のご判断に委ねています。無理に後期治療をおすすめすることはありません。

Q. 引っ越しがある場合はどうすればよいですか?
A. 転勤など引っ越しが多い方向けに、簡単なケースに限り「必要最小限の小児矯正だけ行いたい」というご要望にも対応しています。ご対応可能かどうかは検査で判断しますので、まずはご相談ください。ご兄弟でも難易度は異なります。また、インビザライン治療の場合、LINEやDental Monitoringで写真を送っていただくことで、通院回数を減らすことも可能です。

Q. インビザラインとワイヤー矯正はどう違いますか?
A. インビザラインは取り外し可能な透明なマウスピースで、痛みが少なく目立ちません。デジタル技術を用いた高精度な治療が可能で、小臼歯を抜かずに済むケースが増えています。歯を包み込む構造のため前歯が欠けにくいのも特長です。ワイヤー矯正は装置が固定式で、歯のねじれを除去し、高さを揃えてからゴムを使用するなど手順が多く、治療期間が長くなりがちです。かつては「上下の小臼歯を抜歯し、上下の前歯を下げる」というのがワイヤー矯正の長らくのセオリーでしたが、最新のデジタル技術により、その手法には「歯が骨から出てしまう」リスクがあることがわかってきました。当院では新規の患者様にはインビザラインをお勧めしています。

Q. 小児矯正で後悔しないためには何が重要ですか?
A. 小児矯正で後悔しないために知っておくべき重要なポイントが3つあります:

  1. 既成の装置は装着が難しいことがある:プレオルソやマイオブレースなどの既製品は規格品のため、人によっては装着が難しいことがあります。また、これらの装置はかなり厚みがあるため、誤った使用は危険です。一方、インビザライン・ファーストはお口に合わせたオーダーメイドなので、装着しやすいです。
  2. 前歯を並べるにはリスクがある:小児矯正で無理に前歯をきれいに並べようとすることはおすすめできません。特に歯の幅が大きいケースでは、全ての永久歯が生えてから、歯の幅を調整して前歯を並べていく必要があります。無理に前歯を並べると、前歯の根を犬歯にぶつけるリスクがあります。
  3. 治療前のセファロレントゲン分析が重要:矯正治療において正確な診断をして治療の方向性を決定するために、セファロレントゲン分析は欠かせません。人の横顔は大きく分けて「ドリコ」「メジオ」「ブレーキー」の3タイプに分かれ、それぞれに適した治療法が異なります。

Q. 親知らずはどうすればよいですか?
A. 親知らずを抜かないと後戻りを引き起こす可能性があるため、特に小臼歯を抜歯せずに矯正を行った方は注意が必要です。完全な治療終了は上の親知らずを抜き終わる19歳頃が一般的です。当院院長自身も片方の親知らずを抜かなかったため前歯がガタついてしまった経験があります。

Q. 保定はどのくらい必要ですか?
A. 保定は美しい歯並びを安定させるために重要です。特に舌の癖が続く場合は、癖が治るまでは保定装置が絶対に必要です。成人矯正は後戻りするので、矯正後は保定装置を継続して使用してください。年に数回、保定装置の定期検診を行います。


まずは検査・診断を受けましょう(相談料3,800円・税込)

当院では、検査→診断→治療の順序を徹底しています。お子様の状態を正確に把握し、最適な治療計画を立てるために、まずはご相談にお越しください。

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