子どもの歯肉炎は放置するとどうなる? 成長期に起きやすい理由

子どもの歯肉炎は放置するとどうなる? 成長期に起きやすい理由

歯肉炎(しにくえん)は、歯と歯ぐきの境目にプラーク(細菌の集合体)が溜まり、歯肉に炎症が起きている状態です。
痛みが少ないため見過ごされやすいのですが、成長期の歯肉炎は、歯列の変化や噛み合わせに影響することがあります。

ここでは、なぜ子どもに歯肉炎が起こりやすいのか、放置した際に起こる変化、そして矯正治療との関係について整理します。

目次

1. 歯肉炎の特徴

歯肉炎は、歯と歯ぐきの境目にプラークが停滞し、炎症が生じることで、歯肉が赤く腫れたり、出血しやすくなる状態です。
痛みが少ないため、本人が自覚しにくいという特徴があります。

2. 子どもに歯肉炎が起こりやすい理由

成長期は、以下の要因が重なり、歯肉炎が発生しやすくなります。

2-1. 萌出途中の歯が多い

前歯列、6歳臼歯(M1)、そして高学年では第二大臼歯(M2)が生えてくるため、歯肉の形態が一定ではなく、汚れが停滞しやすくなります。

2-2. 歯列の段差と清掃性の低下

萌出途中の歯は高さが揃わず、歯の側面や歯肉の境目が磨き残しやすい状態になります。
特に生えかけの永久歯の周囲は清掃が難しい部位です。

2-3. 思春期のホルモン変化

中学生以降ではホルモンの変動により、少ないプラークでも歯肉が反応しやすい時期があります(思春期性歯肉炎)。

3. 歯肉炎を放置すると起こる変化

3-1. 歯肉の肥厚による歯列への影響

炎症が続くと、歯肉が厚くなり、萌出途中の歯が理想的な方向へ動きにくくなる場合があります。
歯の角度や位置に影響する可能性があります。

3-2. 前歯の傾斜や位置の変化

歯肉炎が長期間続くと、歯の周囲に汚れが留まりやすくなり、前歯が傾いた状態で固定されることがあります。
特に成長期の前歯は動きやすく、清掃不良と炎症が組み合わさると歯列の乱れが進行しやすくなります。

3-3. M1・M2の清掃不良による噛み合わせの変化

6歳臼歯(M1)や第二大臼歯(M2)の周囲にプラークが停滞すると、むし歯や歯肉炎によって歯の形態が変化することがあります。
奥歯の高さが変わると噛み合わせが不安定になり、顎の位置にも影響が及びます。

3-4. 慢性的な炎症による清掃性のさらに悪化

歯肉が腫れた状態が続くと、清掃がより難しくなり、炎症と汚れの停滞が継続する悪循環が起きやすくなります。

4. 歯肉炎と矯正治療の関係

歯肉炎を放置すると、歯の位置や噛み合わせに影響し、将来的に矯正治療が必要となる場合があります。

4-1. スペース不足の悪化

歯肉炎による清掃不良が続くと、前歯が本来の位置から傾き、スペース不足が悪化することがあります。

4-2. 奥歯の高さの変化

M1やM2のむし歯・炎症により歯の形態が変わると、噛み合わせの高さや位置が変化し、顎の成長にも影響する可能性があります。

4-3. 咬合誘導(こうごうゆうどう)への影響

成長期では、歯と周囲組織が咬合誘導に反応しやすい時期ですが、歯肉炎がある状態では、予定通りの反応が得られない場合があります。
そのため、矯正治療や成長誘導を行う際には、歯肉の健康状態が重要な前提となります。

5. 歯肉炎の予防と改善に必要なこと

  • 歯肉の境目に毛先を正確に当てる
  • フッ素入り歯磨剤の使用
  • M1・M2周囲の溝と歯間部の清掃を丁寧に行う
  • 定期的な歯科検診によるチェック

状態を正確に把握し、磨き残しが起こりやすい部位を把握することが、炎症改善の第一歩です。

6. 歯肉の状態が気になる場合はご相談ください

成長期の歯肉炎は気づきにくい変化も多いため、早期に確認することで、歯列の変化を防ぎやすくなります。
歯肉の腫れや出血が続く場合は、一度状態を評価することをおすすめします。

Delicate. Natural.

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ご覧いただきありがとうございます♪ AI衛生士の「H」です。
本日は私がご案内しましたが……実は、私には“リアルH”がいるんです!
ぜひ医院で、そっくり(?)な本物の衛生士さんを見つけてみてくださいね!

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