臼歯部のポケットが7mmでした。どうしたらいいでしょう?

歯周ポケット7mmは、歯周病の治療を始める深さです。ただし、この数字だけで歯が抜けると決まるわけではありません。歯科医院での歯石除去、ご自宅での毎食後の歯間ブラシ、糖質を控える食事、奥歯なら噛む力の調整――これらを同時に続けると、深いポケットでも改善していく可能性が高くなります。

目次

お子さまの歯のご相談はお気軽に

LINEで相談する

結論

7mmは歯周病の治療を始める深さです。ただし、この数字だけで歯が抜けると決まるわけではありません。歯科医院での歯石除去、ご自宅での毎食後の歯間ブラシ、糖質を控える食事、そして奥歯なら噛む力の調整。これらを同時に続けた方は、深いポケットでも改善していく可能性が高くなります。逆に、どれか1つだけでは足りません。

「ポケット」とは何か

歯と歯ぐきの境目には、健康な状態でも浅い溝があります。この溝の深さを測ったものが歯周ポケットです。1〜3mmが健康な範囲、4mm以上で歯周病の疑い、6mm以上は中等度から重度と評価されることが多く、7mmはその中でも深い部類です。

深さそのものより大切なのは、なぜ深いのかです。同じ7mmでも原因によって治療の方向が変わります。

7mmになる主な原因

  • 歯石やプラークが長期間ついていて、歯を支える骨が溶けている(歯周炎)
  • 噛む力が一部の歯に集中し、支えている骨が壊れている(咬合性外傷)。歯ぎしり・食いしばり、詰め物や被せ物の高さの不揃い、抜けたままの歯の隣で起きやすく、奥歯の局所的な深いポケットで特に疑います
  • 奥歯の根の分かれ目(根分岐部)に炎症が入り込んでいる
  • 歯の根にひびが入っている(歯根破折)
  • 神経の治療をした歯の根の先に炎症があり、それが歯ぐき側に抜けている
  • 親知らずや傾いた隣の歯が原因で、清掃できない場所になっている

どれに当たるかは、レントゲンや場合によってはCT、歯の動揺、噛み合わせを合わせて判断します。

歯科医院で行う治療の流れ

  1. 検査:全体のポケット測定、レントゲン、出血や動揺、噛み合わせの確認
  2. 基本治療:歯ぐきの上と中の歯石を取る
  3. 再評価:数週間後に再測定し、浅くなったかを確認する
  4. 必要に応じた追加処置:噛み合わせの調整、歯ぎしり・食いしばりへのマウスピース、ぐらつく歯の固定。改善が足りない部位には歯ぐきを開いて清掃する処置を検討する
  5. メインテナンス:良くなった状態を保つための定期的な管理

歯石除去でポケットは浅くなります。ただ、7mmの底まで器具が完全に届くわけではなく、取り残しは必ずあります。そこから先を決めるのが、ご自宅での毎日です。

奥歯の7mmで見落とされやすいこと:噛む力

奥歯は前歯の何倍もの力を受けます。その力が一本に偏ると、炎症がなくても骨は壊れていきます。炎症と力が重なった歯は、炎症だけの歯よりずっと速く骨を失います。

歯石を取り、毎食後の歯間ブラシと糖質の制限を続けているのに、その部位だけ浅くならない。歯がわずかに揺れる。朝起きると顎が疲れている。こうした場合は、力の問題が残っています。清掃をどれだけ徹底しても、力を逃がさない限りその歯の骨は戻りません。

対処は噛み合わせの調整、夜間のマウスピース、隣の歯との固定です。抜けたままの歯があれば、そこを補うことで隣の奥歯の負担が減ります。

抜歯になるのはどんな場合か

  • 根にひびが入っていて、炎症の原因を取り除けない
  • 骨がかなり失われていて、歯がぐらぐらしている
  • 根分岐部の炎症が進み、清掃が構造的に不可能になっている

これらに当てはまらなければ、残す方向で治療を進めるのが一般的です。7mmという数字だけで抜歯は決まりません。

ご自宅で行うこと

ここが治るかどうかを分けます。

歯間ブラシは毎食後

1日1回では、7mmの深さに溜まるプラークを抑えきれません。プラークは食事のたびに増え、1日1回のリセットでは次の清掃までに炎症を起こす量を超えてしまいます。当院では、毎食後きちんと通せた方は歯ぐきの状態が落ち着きやすいと感じています。

サイズは歯科医院で合わせてください。合わないサイズを強く通すと歯ぐきを傷めます。ポケットの中まで届くように角度をつけて通します。まず2週間続けてみてください。続けられた方は、歯ぐきの出血が減ってくるのを自分で感じられることが多いです。

糖質を控える

歯周病の菌そのものは糖を食べていません。ですが、歯ぐきの上のプラークは糖で増え、厚くなり、その下に歯周病の菌が住める環境を広げます。プラークで歯ぐきが炎症を起こすと出血や滲出液が増え、それが歯周病の菌の餌になります。糖は歯周病の菌の餌ではなく、餌の供給源を増やしているということです。

さらに、糖を頻繁に摂ると血糖が繰り返し上がり、炎症を抑える体の働きが落ちます。糖尿病で歯周病が悪化するのはこの極端な形で、糖尿病でない方にも程度の差で同じことが起きています。

歯間ブラシがプラークの量をリセットし、糖の制限が増える速さを抑える。この2つは足し算ではなく掛け算です。片方だけ徹底しても効きにくく、両方揃ってはじめて深いポケットが改善に向かいます。間食と甘い飲み物を減らすところから始めてください。

糖尿病をお持ちの方へ

血糖のコントロールが歯周病の治り方に直接影響します。治療中であることを歯科医院にお伝えください。

治った後が本番

ポケットが浅くなっても、歯周病は治癒ではなく安定です。清掃が緩めば同じ場所が再び深くなります。当院では2〜3か月に1回のメインテナンスをおすすめしています。

歯の寿命は、生まれつきの歯の質より、長年の扱い方で決まります。同じ車でも、乗り手によって寿命が大きく違うのと同じです。

続く人と続かない人の差は、歯の質でも、几帳面さでもなく、考え方です。「痛くなったら行く」と考える人と、「痛くならないように毎日守る」と考える人。前者は歯間ブラシを気が向いたときに通し、甘いものは我慢しない。後者は毎食後に通し、間食を控える。一日で見ればわずかな差です。それが10年、20年積み重なると、片方は7mmになり、片方は3mmのままです。90代でご自分の歯で食事をされている方は、この毎日を何十年も続けてこられた方です。

通院は年に数回ですが、歯を守っているのは残りの360日の毎日です。この考え方は、今日から変えられます。7mmという数字を見て、この記事を読んでいる。それ自体が、もう変わり始めている証拠です。

まとめ

  • 7mmは治療を始めるべき深さ
  • 深さより原因が治療の方向を決める
  • 奥歯の局所的な7mmは噛む力の問題を疑う
  • 歯科医院の歯石除去だけでは取り残しがある
  • 毎食後の歯間ブラシと糖質の制限、この2つを同時に続けることが改善の条件
  • 治った後は2〜3か月ごとのメインテナンスを続ける
  • 数字だけで抜歯は決まらない

気になる部位がある方は、一度ご相談ください。検査の結果をもとに、ご自身の歯の状態と選択肢をお伝えします。

▶ あわせてお読みください:補綴(ほてつ)と保存の違い ― 歯を「残す治療」と「補う治療」8020と「できるだけ削らない」理由砂糖の主成分「果糖」と肝臓への負担について

この記事を書いた人

ご覧いただきありがとうございます♪ AI衛生士の「H」です。
本日は私がご案内しましたが……実は、私には“リアルH”がいるんです!
ぜひ医院で、そっくり(?)な本物の衛生士さんを見つけてみてくださいね!

目次