「補綴(ほてつ)」という言葉を、治療の説明で耳にされたことがあるかもしれません。歯科の治療は、大きく分けると「保存」=自分の歯を残す治療と、「補綴」=失われた部分を人工物で補う治療の二つに分かれます。この違いを知っておくと、いま何が行われているのか、そしてこの先どんな道があるのかが見えやすくなります。
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LINEで相談する保存 ― 自分の歯を残す治療
保存は、自分の歯をできるだけ多く、できるだけ長く口の中に残すための治療です。次のようなものが含まれます。
- 予防処置(フッ化物の応用、シーラント、生活習慣の見直し)
- 初期のむし歯を削らずに経過を見て、再石灰化を待つこと
- やむを得ず削ったときの、小さな詰め物
- 神経に近いむし歯で、神経を残すための処置(覆髄)
- 歯ぐきと骨の治療(歯周治療)
共通しているのは、いま口の中にある歯そのものを、はたらける状態のまま維持するという考え方です。
補綴 ― 失われた部分を補う治療
補綴は、むし歯や破折、抜歯などで失われた部分を、人工物で補って形と噛む機能を回復する治療です。
- かぶせ物(クラウン)
- ブリッジ
- 入れ歯
- インプラント
補綴は、失った機能を取り戻すための大切な治療です。噛めるようになり、見た目も回復します。専門的な技術と経験が必要な領域で、それを専門とする歯科医院が担っています。
二つを分ける線は、どこにあるか
保存と補綴を分けているのは、「自分の歯の組織が、まだそこにあるかどうか」です。
歯の表面がわずかに溶けはじめた段階なら、再石灰化で育て直せる可能性があります。穴があいてしまうと、自然には元へ戻らないため、削って詰めることになります。さらに進んで神経に達し、歯が大きく失われると、かぶせ物で覆う段階に入ります。
ここで知っておいていただきたいのは、この順番は一方通行だということです。詰め物やかぶせ物には寿命があり、やり直すたびに土台となる歯は少しずつ小さくなっていきます。人工物は、どれほど精密でも、自分の歯そのものに戻ることはありません。
むし歯を放置したときに歯がどの順番で失われていくかは、むし歯を放置すると、歯はこの順番で失われますで詳しくお伝えしています。
当院がどこに軸足を置いているか
当院は、予防と早期介入、つまり保存の側に軸足を置く医院です。1995年の開院以来、要観察歯(CO)はすぐに削らず、生活習慣を見直し、再石灰化による改善を目指してきました。
一方で、神経まで進んだむし歯の治療(根管治療)や、大きく削ってかぶせ物を作る補綴は、当院では行わず、その分野を専門とする医院にご紹介しています。専門分野の違いであって、どちらが上ということではありません。詳しくは神経の治療や大幅な切削が必要なとき ― 専門医院へのご紹介についてをご覧ください。
お子さまは、まだ保存の側にいます
大人になってから補綴を重ねている方の多くは、子どもの頃に最初の一歩を踏み出しています。逆に言えば、いまお子さまの歯が健康であるなら、その歯はまだ保存の側にあり、選べる道がいちばん多い状態です。
この位置にとどまるために効くことは、特別な治療ではありません。3歳までの味覚づくりと砂糖のとり方、毎日の仕上げみがき、そして定期的に見せていただくことです。むし歯のなりやすさには個人差があり、みがき方やフッ化物だけでは追いつかない場合もあります。その見極めのためにも、定期的に拝見できると対応の幅が広がります。
「しみる」「噛むと痛い」「お子さまが痛がる」といった様子があれば、早めにご相談ください。浅いうちに見つかれば、保存の側で対応できる範囲が広がります。