CAD/CAM冠は、保険で入れられる白い被せ物です。白くて金属を使わない良さがある一方、割れにくい厚みを確保するために歯を削る量が必要で、外れる・欠けることもあります。当院は被せ物の治療は行っていませんが、ご質問をいただくことがあるため、一般的なことをまとめました。
「CAD/CAM(キャドカム)の白い被せ物って、どうなんですか」。診療室でこうしたご質問をいただくことがあります。
はじめにお伝えしておくと、当院は、歯を大きく削って被せ物を作る治療(補綴)は行っていません。ですから、これは「当院で入れられます」というご案内ではありません。入れるかどうかを考えるときの材料として、一般的なことを整理しました。
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LINEで相談するCAD/CAM冠とは
CAD/CAM冠は、コンピュータで形を設計し(CAD)、機械でブロックを削り出して作る(CAM)被せ物です。保険で使われるブロックの代表的なものは、樹脂(レジン)にセラミックの細かい粒を混ぜて固めた材料です。「セラミックの歯」と思われていることがありますが、自費のセラミックとは別の材料です。
保険では2014年に小臼歯から始まり、その後、前歯や大臼歯へと対象が広がってきました。2026年6月の改定でも、奥歯に使える条件が広がっています。使える歯や条件は改定のたびに変わりますので、実際に入れられるかどうかは、治療を受ける歯科医院でご確認ください。
良いところ
- 白い。銀色の被せ物に比べて、口を開けたときに目立ちません。
- 金属を使わない。金属アレルギーのある方、心配な方にとっての選択肢になります。
- 保険で入れられる。自費の白い被せ物に比べて、費用の負担が小さくなります。
- 規格化されたブロックから削り出す。材料そのものの品質がそろいやすい作り方です。
知っておいていただきたいこと
1. 歯を削る量が必要です
樹脂が主体の材料は、薄いと割れやすくなります。そのため、被せ物に一定の厚みを持たせる必要があり、その分だけ土台の歯を削ります。日本補綴歯科学会の診療指針(2024年)では、噛む面で1.5〜2.0mm以上、側面で1.5mm以上のすき間を確保することが示されています。
金属は薄くても強度が出せる材料です。同じ歯に被せるなら、白い材料のほうが削る量は多くなりやすい。これは良し悪しではなく、材料の性質によるものです。
2. 外れる・欠けることがあります
同じ指針では、2〜5年の経過で口の中に残っていた割合は87.9〜97.9%と報告されています。これは、欠けたものや、外れて付け直したものも「残っている」に数えた数字で、一度も問題が起きなかった割合ではありません。多くはお口の中で使い続けられていますが、外れたり欠けたりすることはある、と知っておいていただくとよいと思います。
3. 向かないお口があります
指針では、次のような場合は推奨できないとされています。
- 歯ぎしり・食いしばりで歯が強くすり減っている
- 歯の高さが低い
- 噛み合う歯とのあいだに、必要な厚みの分のすき間が取れない
つまり、「保険で白くできる歯」であることと、「その方のその歯に向いている」ことは、別の話です。
4. 年数とともに変化します
樹脂を含む材料ですので、年数とともに艶や色の変化が気になってくる場合があります。
材料より先に考えていただきたいこと
「金属か、CAD/CAMか、セラミックか」は、被せ物を作ると決まったあとの話です。当院がそれより先に見ていただきたいと考えているのは、その歯を、あとどれだけ削ることになるのかです。
被せ物には寿命があり、作り直すたびに土台の歯は小さくなっていきます。どの材料を選んでも、人工物が自分の歯に戻ることはありません。ですから、
- いま困っていない銀色の被せ物を、白くするために作り直すのか
- 被せ物でなく、もっと小さな詰め物で済む段階ではないのか
といったことは、材料選びの前に、治療を担当される先生とよく相談していただきたい点です。
削る・被せるの流れがどう進むかはむし歯を放置すると、歯はこの順番で失われます、「残す治療」と「補う治療」の違いは補綴(ほてつ)と保存の違いでお伝えしています。
相談のときに聞いておくとよいこと
- この歯は、どのくらい削ることになりますか
- 歯ぎしりや噛む力の面で、私の歯に向いていますか
- 外れたり欠けたりしたときは、どうなりますか
- ほかの材料にした場合、削る量や長持ちの面でどう違いますか
当院の立場
当院は小児歯科・予防・矯正に専念しており、大きく削って被せ物を作る治療は行っていません。必要な方には、その分野を専門とする歯科医院をご紹介しています(専門医院へのご紹介について)。
CAD/CAM冠は、被せ物が必要になった歯にとって、保険で選べる白い選択肢のひとつです。そのうえで当院がいちばん大切にしているのは、被せ物が必要にならないよう、自分の歯を削らずに残すことです。お子さまの歯は、まだその側にあります。
出典:公益社団法人 日本補綴歯科学会「保険診療におけるCAD/CAM冠の診療指針2024」、厚生労働省 令和8年度診療報酬改定。数字は一般的な報告で、結果はお口の状態によって異なります。
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